テサロニケ第一5章12~25節「作り笑いに疲れたあたなに」
今年度の年間主題は「喜び、祈り、感謝」とし、
いつも喜んでいなさい。 絶えず祈りなさい。 どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです。
というテサロニケの信徒への手紙 5章16~18節の聖句を選びました。
しかし、そうはいってもいつも喜ぶことなんて土台無理なことです。下手すれば、やせ我慢と作り笑いの勧めになってしまいます。テサロニケ書は紀元50年ごろに書かれたとされるパウロ書簡の中でも最も古い書簡です。イエス様の昇天時、「すぐに来る」といわれて再臨を予告してまだ20年。当時第一世代のクリスチャンの在世中に主の再臨がおきると考える者が多く、浮足立って、テサロニケの教会の中では生業を捨てる者も多くいました。有名な「働かざる者食うべからず」ということわざもその文脈の中でパウロが忠告した聖書由来の言葉です。そうです。テサロニケの教会の中でも再臨問題で見解の相違があり、いつも喜ぶことなどできない教会だったのです。昨年は新しい歌を主に向かって歌えでしたが、新しい人、新しいことを試みるとき、そこには多少なりとも軋轢が生じ、喜べない、感謝できない、祈れないことがおきるのはやむを得ないことです。ではどうすればいいのか実は14節の励ましなさいには訳しきれていないニュアンスがあります。日本語にも、英語にも現代ギリシャ語にもない「態」「voice」、能動態activeでも、受動態passiveでもない中動態が使われています。これは「自分自身で」とか「互いに」という意味あいがあります。つまり、励まし、励まされ、祈り、祈られ、喜べない境遇の人によりそってあげることで、また喜べない自分に寄り添ってもらうことで、教会の中がいつも喜べるように、祈れるように、感謝できるようにしなさいというのです。実にパウロもこの段落の中で人に祈りを勧めつつ、25節で自分の祈りの課題を吐露し、祈りの要請をしています。正直に自分の弱さを告白しSOSを出せる間柄こそ教会の強さであり、それが未信者にも魅力的に映り、伝道にも繋がるのでしょう。私たち我孫子バプテスト教会もこのみ言葉を掲げ、そんな教会を今年一年目指したい。
※サムネイルはテサロニケの信徒への手紙が宛てられた、現在のギリシャ第二の都市テッサロニキにあるギリシャ正教の教会 筆者撮影
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