マルワン・バルグーティから目が離せない

マルワン バルグーティ 教会と国家
マルワン バルグーティ

マルワン・バルグーティから目が離せない

まあ、親パレスチナの方も親イスラエルの方も、小さな教会の牧師の戯言だと思って聞いてください。
自分の教会の一部の信徒は半年前から、この紛争の終結はたった一人の囚人を釈放するかどうかにかかるだろうからそのことについて祈っているとうちうちにお話ししていました。
日本の報道では全くのノーマークで、邦訳されたウィキペディアすら存在しないのですが、やはり一部現地メディアの報道によればこの男性のことが停戦交渉の俎上にあがっているようです。
その男性の名はマルワン・バルグーティ、なんと過激派のハマスではなくて、主流派、今のパレスチナ自治政府の政権与党ファタハの活動家です。
昨年10月7日以来ガザでの紛争に関連して、イスラエルについて論評するもの、ハマスについて論評するものが多くありましたが、パレスチナ自治政府(ファタハ)について論評するものはほとんどありません。しかし、パレスチナの過激派ハマスがここまで増長した最大の理由はパレスチナ自治政府の主流派であるファタハの無為無策ぶりが原因なのはあきらかであり、しかもその主張はイスラエル側だけでなく、アラブ人側からも聞かれることで、パレスチナ自治政府(ファタハ)の腐敗ぶりに関してはそのマイナス評価について争いはないほどです。
それではパレスチナ自治政府主流派ファタハの自浄能力がないもっとも端的な証拠を一つ上げましょう。
パレスチナ自治政府議長(大統領)マフムート・アッバス(御年88歳!)
ただただこれにつきます。
先日、政界引退を表明した二階俊博自民党元幹事長ですら、85歳ですよ。事実上の戦争当事国の最高指導者がなにもできない米寿のおじいちゃんであるということはパレスチナの人にとってどれほどの絶望でしょうか?ノーベル平和賞を受賞したPLOのアラファト議長なきあと2005年からずーっとパレスチナはアッバス議長によって率いられてきました。っていうかあまりにも官僚主義的でリーダシップに欠けるというのがアッバス議長に対する皆の評価でアッバス政権に対するパレスチナ住民の支持率は10パーセント以下です。これがファタハへの支持を失わさせ、ハマスの勢力拡大と過激化につながった最大の要因なのです。
これがためにパレスチナではハマスが勝ってしまうため長年選挙を行うことができず、選挙によって信任された政府でないから思い切った政策やイスラエルとの粘り強い交渉ができず、イスラエルもアッバス政権が弱い政府であることを漬け込んでパレスチナ側に必要以上に譲歩せずに今日まできたという経緯があるのです。
そこで出てくるのが先述のマルワン・バルグーティです。彼はパレスチナの英雄アラファト前議長の正統な後継とみなされ、今でもカリスマ的な人気があります。パレスチナの民衆蜂起インティファーダでイスラエル側につかまり終身刑が言い渡されましたが、獄中にいながらパレスチナ政界に強い影響力をもち、またイスラエルの刑務所は極めて人道的ですから、獄中で学位も取得しています。そのため文武両道で仮に恩赦されれば直ちに国際舞台で活躍もでき、パレスチナ問題が一気に進展する可能性すらあるでしょう。
パレスチナの世論調査ではいつも次の議長(大統領)候補ナンバー1です。
彼は党籍を今もファタハにおき続けています。今パレスチナで選挙をすればアッバス議長率いるファタハは大惨敗し、ハマスに政権交代してしまう予想が出ていますが、マルワンが釈放され、選挙でファタハを率いれば、ファタハが大勝するという世論調査が10月7日以前も以後も出続けています。
しかも政敵であるはずのハマスが彼の釈放の画策をし、同じファタハ内での派閥抗争でしょうかアッバス議長が自らの地位を危うくするのでマルワン・バルグーディの釈放に反対しているという報道もあります。
また、イスラエルにとっては、爆弾を使わず過激派ハマスを一気に弱体化できますから、マルワン・バルグーティの釈放は魅力的なカードであると同時にパレスチナに超強力な挙国一致内閣マルワン政権を産むことになるので、彼を釈放するのは最も嫌なことでもあるはずなのです。
だからこそ、ここに日本ができることがあるのではと私は祈り続けています。イスラエルがもっとも懸念しているのはマルワン・バルグーティを釈放した場合、彼が武装闘争路線を取るのではという懸念です。日本はパレスチナ自治政府への最大のスポンサーの一つですから、もしマルワン・バルグーティに恩赦を出して釈放する際は、彼が参与するであろうパレスチナ自治政府が平和裏にパレスチナ問題を解決する限りにおいて、経済援助をするというイスラエル側が安心して釈放するための条件を担保することが日本にはできるのです。
そんな爆弾を使わずにハマスを弱体化させ、パレスチナに平和をもたらす方法について祈り続ける小さな教会の牧師の戯言でした。

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