チャンソーマン「刃渡り2億センチ」を神学してみた

サブカルを神学してみた

2022年秋アニメの話題作といえば、チェンソーマンです。息子もこのアニメに夢中になっています。かくゆう私も、ハマっているので、キリスト教の牧師がアニメ・チェンソーマンをまじめに神学してみます。

とりあえず、第3話のエンディング、マキシマムザホルモンの「刃渡り2億センチ」について、キリスト教神学的に見てみましょう。

この曲の歌いだし、「Demon,In the name of Devil」ですが、神学的には面白い表現です。もちろん、このバンドマキシムザホルモンは韻を踏むのがすきなので、そうしているだけなのでしょう。もとい、ヘビーメタルの曲の韻について馬鹿正直に神学する方がおかしいのですが、あえてバカ真面目にやっていこうと思います。

キリスト教では天使が神様に逆らって天界を追放され、いわゆる堕天使が、悪魔、悪霊になるのですが、聖書からガチで神学すると、この堕天使は実は2種類しかいません。しかし、その2種類は明確に区別されています。

一つは悪魔(サタン)と訳されている存在ともう一つは悪霊(デーモン)と訳されているものです。で、これは聖書の訳語にも問題があるのですが、この悪魔はたった一人の存在を指します。悪霊たちのリーダー、頭目、王です。そして、悪魔以外のその他大勢の堕天使がみな悪霊と呼ばれています。ですから、サタンは「悪魔」と訳されるよりは、現代日本でこれだけ異世界アニメやファンタジー小説などが読まれしたしまれているのですから、悪魔・サタンを「魔王」と訳し、悪霊・デーモンを「悪魔」と翻訳した方が、きっと読者の皆さんのイメージに合うのだと思います。

そして、さらにややこしいのが、たった一人しかいないサタン「魔王」の方にたくさんの二つ名(あだ名)があり、その他大勢たくさんいる悪霊デーモンの方にはほとんど固有名詞があてがわれていないのです。もっとも聖書は、人間の救済を教えてくれる教典であって、ファンタジー大好きっ子のための悪魔悪霊百科事典ではないのですから、当たり前と言えば当たり前ですが・・・。

有名どころで言えば「ルシファー」も「ディアボロス」も「魔王」サタンの別名であって、同じ存在を指し示します。さて、話をマキシムザホルモンの歌詞に戻しますが、「デビル」は「ディアボロス」が転訛したものですから、「デビル」も数あるサタンの名前の一つということになります。

冒頭の刃渡り2億センチの歌詞の話にもどります。「Demon,In the name of Devil」はグーグル翻訳だと、「悪魔、悪魔の名において」と両者の区別はありませんが、キリスト教神学的には「悪霊(悪魔)、魔王の名において」となります。

まあ、デビルというのはサタンの別名、ディアボロスがさらに英語になる過程でデビルになったので、あまり区別なくデーモンの意味で使われているのでしょう。

とにかく、キリスト教神学においては悪魔、悪霊の類のうちサタンだけは別格であるということだけ知っておけば、今後、こうしたファンタジー作品の制作や考察に役に立つと思います。

ニコラ・プッサン作「聖母の被昇天」

ニコラ・プッサン作「聖母の被昇天」

つぎに、このエンディングのアニメーションで途中で転調してマキマがローブをひらひらさせながら天女のように上空からマキマに崇められるシーンがありましたが、これはカトリックの方の教義にある「聖母の被昇天」がモチーフになっていると思います。これはイエス・キリストの母マリアが死を経験せずに直接天に引き上げられたとする教理です。プロテスタントはこの教理を聖書からは説明できないとして受け入れていませんが、カトリックではこの教理に基づいた絵画がいくつもつくられていますので、右に挙げます。ね、エンディングのマキマの姿にそっくりでしょう?

今後もチェンソーマンをはじめ、アニメやゲーム、サブカルをテーマにして本職牧師のこのサイトの管理人がいろいろ神学(考察)していこうと思います。感想、コメントくださると励みになります。また、神学(考察)してほしい、アニメやゲームがありましたら、コメントください。

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