サムソンは神によって聖別され、素晴しい怪力という賜物を与えられた人でしたが、その性格と言うか生き方はかなり八方破れです。彼は、腕力は強かったけれど、美しい女性には弱かった。14章にも、ティムナのペリシテ人の娘に一目惚れしてどうしても結婚すると言い張り、妻としたその女性の泣き落としによって大事な謎の答えを教えてしまって裏切られる、ということが語られています。
これは16章におけるデリラとの話の予告のようなもので、結局同じようなパターンが繰り返されるのです。つまりサムソンは、私たちが神によって聖別された人ということで思い描くイメージとはほど遠い人です。また、この女性との結婚式に招いたペリシテ人の三十人の客に謎掛けをして、麻の衣三十着、着替えの衣三十着を賭け、妻が答えを教えたために賭けに敗れると、アシュケロンに住む三十人の無関係のペリシテ人を打ち殺してその衣を奪って賭けの相手に渡したのです。なんとひどい話ではありませんか。そしてこのことをきっかけにして15章では、仕返しが仕返しを生み、ついにはサムソンが一人でペリシテ人千人を打ち殺した、ということが語られています。
このようにサムソンは、人間の常識や倫理的規範によるコントロールが効かず、何をしでかすか分からないとんでもない者です。
その八方破れのサムソンが神に聖別されたナジル人であり、士師だった。16章28節には、その彼も主なる神様を信じていたことが語られているのです。
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