教会に躓いたあなたへ(3)守秘義務を守れない教会

教会に躓いたあなたへ

私自身、一信徒だった時に、とある教会指導者に、『誰にも言わないでくださいね』とお願いしたうえである事柄を話したのに、それが、翌々日には近隣の姉妹教会の指導者にまで知られていることがあり、随分と傷つけられたことがあります。今でもYoutubeを中心に活躍されている、結構有名な伝道者ではあられるのですが、申し訳ないですから、私からすれば、犯罪者です。

こんなことをいえば「犯罪者とはいくらなんでも、言葉に過ぎる!」とお叱りをうけるかもしれませんが、本当にそうなんです。

刑法134条1項には次のようにあります。

1.医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する(134条1項)。

そして同条の2項には次のようにあります。

2.宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする(134条2項)。

「宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者」とあります。神父も牧師も、伝道師、専心伝道者 名前はいろいろありましょうが、宗教上知りえた秘密は、医師や弁護士と同じだけの厳格な守秘義務があって、漏らした場合は、民事だけでなく、親告罪ではありますが、刑事罰の対象になる、牢屋に入れられる場合もある立派な犯罪なのです。

この点、私も全てのキリスト教会を総覧した訳ではないですが、断言はできませんが、それでも日本のキリスト教界に長く身を置いている経験則上、カトリックより、プロテスタントの方が、またプロテスタントの中でも大教団の牧師より単立教会の指導者の方が認識が甘いような気がします。これは、カトリックの方が告解といって、宗教上信徒の秘密を知ることが儀式化されており、また、神学校でもおそらく、刑法の条文をあげて教育をされておられるのだろうと思います。

対して、単立教会の場合、出身の神学校にもよりますが、この問題についての学びが少なかったり、さいあく、「わたしは神に直接、召しをうけたらからこの世の方には関知しない」などと全く問題視されておられない方もいて、ひどい場合は信徒さんが相談した内容な翌週の日曜礼拝の説教のネタにされるなんて言うことがあるとかないとか・・・。それで、教会で悪い噂、評判がついてしまったら、もうその教会にいくことができなくなってしまいますよね。

手前みそではありますが、私は先日も教会の役員の方々に、この条文を提示して、

「さすがに、皆さんは牧師のような『職業』ではありませんから、刑法で罰せられるということはありませんが、教会運営上、話し合う内容の中には、墓場まで持って行ってもらう必要のあることも出てくるやもしれません。その一方で役員会の話し合われた内容は議事録を教会員のみなさんに配り、公表できるものはできうる限り公表し、公明正大にしなければならない部分もあります。一つ一つの議事を慎重に取り扱っていきましょう」

と訓示させていただきました。

読者のみなさんも教会で相談をする時、特に相談内容が性や借金の問題など誰にも知られたくないようなことの場合、教会に躓かされる前に、相談相手が刑法134条2項をちゃんと理解しておられるか確認してからの方がいいかもしれません。

そして、泣き寝入りしないために、この条文は親告罪なので、何年何月何日にどのような相談内容を相手に吐露したか、また、その際、絶対に秘密にしてほしい旨伝えたこともメモしておくことをお勧めします。私も過去に漏らされた秘密(私の場合は電子メールで相談したので記録がきっちり残ってる)をいつでも親告できるようにとっています。

サムネイルはジュゼッペ・モルテーニ画 「告白」 (1838)

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