使徒7章1~8節 ステファノ斯く語りき

ライオン門、別名ステファノ門 説教
ライオン門、別名ステファノ門

使徒7章1~8節 ステファノ斯く語りき

使徒言行録にはパウロの説教もペテロの説教も収録されていますが、最も多くの紙面が割かれているのはステファノの説教です。しかしながら、彼の7章の説教にはいくつか粗がめだちます。たとえば

  1. アブラハムの召命と故郷からの出立の時期を誤っている。
  2. イスラエルのエジプトでの隷属期間が430年であるのに、400年と概数だけ述べている。
  3. 族長たちの墓の購入者、地名、墓に葬られた人物とを混同している。

などです。しかし、ルカはパウロやペテロの説教よりもステパノのそれに最も多くの紙面を割きました。なぜなら、この説教が聖霊によって語られた(使徒6章)からです。そして、この説教はそこらの辻説法というのではなく、当時のイスラエルの国会で語られた説教でありました。この説教の証人は当時のイスラエルの国会議員(議長1、副議長1、その他69、定数計71名)の他、傍聴人(この中にパウロもいた!)も合わせれば100名以上が聞いたと考えられます。著者のルカのことですから、当然に国会の議事録にもあたり、また、実際に説教を聞いた人間にあたって、ステファノがどのような説教をしたのか綿密に調べ上げたことでしょう。他の説教は説教の要約、概要、要点のみと言えるでしょうが、この説教はビデオレコーダーのような記録として残っていたものと考えられます。

本日、ビデオ説教のテキストを使徒7章とした意図はここにあります。私の説教はステファノの「説教の説教」になってしまいますから蛇足であり、今日は聖書朗読だけでも充分であるほどなのです。

冒頭の兄弟たちよという呼びかけから、最後の60節で石を投げられる断末魔まで、説教の息遣いが聞こえるのです。加えて、自らを私刑によって殺そうとする相手に対して取りなしをするステファノの姿は十字架上で私たち人間の罪の取りなしをして下さったイエスキリストとダブります。ステファノを殺めてしまったパウロは後にこの一人のキリストの証人の姿からキリストそのものを見たのです。私たちもキリストを見たわけではありませんが、伝道するキリスト者の中にキリストを見、キリスト者にして頂いたのです。さらに付言すれがステファノは按手をうけた牧師ではなくエルサレム教会の一執事、役員でありましたが、神様によって立派な証しを立てさせていただきました。この事実を見つめるとき、私たちの証しをも主が建てて下さると信じることができるのです。

※サムネイルはエルサレム旧市街 ライオン門の中。別名ステファノ門、この近くでステファノが殉教した。筆者撮影

 

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