ヨハネ5章1~17節「あなたのためにはたらく神様イエス様」

ピーテル・アールツェン 作「ベテスダでの麻痺の治癒」 (1575) 説教
ピーテル・アールツェン 作「ベテスダでの麻痺の治癒」 (1575)

あなたのためにはたらく神様イエス様

ベテスダの池は聖書の記述と考古学的史料がほぼ合致しており、エルサレムにおいても有数の観光スポットです。そこで2000年前、湯治と迷信が合わさったような効能が信じられていました。ヨハネの福音書5章4節は古い写本にはないので、おそらく原典にもなかったと推測されます。後代にベテスダの湯治や効能をうたった迷信が信じられていたという事情を知っていた人が知らないであろう読者に事情を伝えようと老婆心から加筆したのが4節だと考えられています。
さて、38年もの長患いをしていた者とイエス様との問答をみると、この男は目の前に救いを提供してくださる能力を持った方がいるのにその人に救いをストレートに求めていないことが分かります。次にこの男が解決方法だと信じている方法はその効能が疑わしく、彼が導き出した救われる方法は、池の水が動き出したときにいち早く池の中に自分の身体を動かしてくださることでした。私たちはこの人を決して笑うことができません。私たちは人類史の中で最も個人主義、自由主義の時代を生きています。そのため、個人の自由意思が絶対化され、人間は手段においても目的においても救いについて神の前に見当はずれをしているどうしょうもない罪のただ中におり、その中から神様が私たちを救おうとしてくださっていることを再認識すべきでしょう。次に安息日規定についてです。旧約聖書の時代のユダヤ人の安息日規定からは私たち新約聖書の時代のクリスチャンは解放されていますが、この律法に縛られている人を笑うことができるのは一週間を通して自由で聖別された神様に喜ばれる生活をしている人だけでしょう。放縦と自由を履き違えてしまった私たちをも救うために神は世界を保持し、救いを成就し、今日もイエス様は「働いて」くださっています。

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