ヨナ書 第4章1~3節「憂国の預言者」

ヨナ書の中でヨナが大魚に丸のみされて、お腹の中で一命を取り留めるというのは非常に視覚的です。ディズニーの映画ピノキオのモチーフにもなりました。
しかし、彼がそもそも「ニネベで悔い改めのメッセージを告げよ」との神勅にそむき御顔を避けて、タルシシュ(現在のスペイン南部)行きの船にのったのは何故でしょうか?絵本や教会学校の中ではその理由にほとんど触れられません。ヨナの不従順として片づけられることが多いのですが、考えられる可能性を探っていくと彼は神を恐れ、殉教をもいとわず、賜物もあり、大変用いられていた預言者であったことがわかります。
では何故神の御顔を避けたのでしょう。4章でヨナは船でタルシシュへ逃げる前に神様と対話していたことが明らかになります。彼は、神様が憐れみ豊かであるがゆえに、ニネベが悔い改めて救われることも分かっていたというのです。ヨナは伝道をするにあたっての様々な障壁があったというのではなく、実はどのような障壁をも神様が乗り越えさせてくださることを知っていたというのです。
彼はニネベ行きを拒んだ本当の理由は、郷土愛、愛国心というべきものの故でした。教父ヒエロニムスもヨナを愛国者として擁護します。
しかしそんなヨナに神は優しく忠告します「お前は怒るがそれは正しいことか」と。同書は狭隘な愛国心が時として神の御旨を妨げることすらあることを教えているのです。

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