ホセア書1章1~9節 マイナーな聖書の預言書を開こう ホセア書

ポンペオバトーニ作 放蕩息子の帰還 説教
ポンペオバトーニ作 放蕩息子の帰還

ホセアは先月お話ししたアモスと同時期ヤロブアム2世の時の北イスラエル王国の預言者です。紀元前722年にアッシリア帝国の皇帝セナケリブによって北イスラエル王国は滅亡させられます(列王記下14~17章)が、彼はその艱難が目の前に迫っている時四半世紀に渡って活躍しました。同書は1~3章、4~11章、12~14章の三部構成になっています。

第一部、預言者はしばしば言葉だけではなく、預言の内実を体現させられることがあります。イザヤは裸での行進を強いられましたし、エゼキエルは妻の死について悼むことを禁じられました。ホセアは淫行の女ゴメルをめとるように指示され、父親が誰かもわからない子を育てるようにいわれます。その子の名は、「憐れまれぬ者」「我が民で無い者」です。崩壊する家庭はイスラエルの国家、淫行にふけるゴメルは偶像礼拝し別の神につかえるイスラエルの姿をあらわします。カナン人の異教の神はバアルといい、「主人」という意味があります。そう、イスラエルは文字通り、聖書の神ヤハウエを主とせずに、バアルを主にしたのです。ホセアはなおもゴメルのために折れて、ゴメルを探し、ゴメルの愛人への借金を肩代わりし、ゴメルに誠実を尽くし、家庭の修復を促すことで、イスラエルに対する神様の愛を表すようにいわれました。

第二部ではイスラエルが浮気性で神に対する知識(ヤダア)が欠けていることを非難します。ここでの知識、知るというのはアダムはその妻エバを知った(創4:1)のように頭だけで知っているというのではなくて、個人的に親密に知るということが欠けていることを糾弾しています。それは霊においてはヤハウエに偽善的な礼拝をしながらバアルにも偶像礼拝(浮気)していること、また政治的にもまことの神により頼まず、北東の大国アッシリアに頼ったかと思えば南西の大国エジプトと同盟を結ぶといった浮気性を発揮していることを非難します。

第三部では創世記のヤコブの詐欺行為、民数記のイスラエルの民の反抗、サムエル記のサウル王の不信を挙げて、この民族が始まって以来以下に神に対して不誠実であるかが書かれています。

ゴメルの愛するホセアの愛、神に従う者だけでなく、神に逆らう者さえ愛する神の愛、放蕩息子を無限に愛する父なる神の愛が、イエスキリストをこの世に遣わしたのです。(ホセア書11章)

 

※サムネイルはポンペオ・バトーニ作「放蕩息子の帰還」

よく、旧約聖書は裁く神で怖く、新約聖書は愛する神で優しいといわれることがあるが、説教者は主イエスが話された放蕩息子の話の元ネタはホセア書11章に由来すると考える。旧約聖書の神様もやはり私たちを愛する神である。

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