マイナーな聖書の預言書を開こう ナホム書

「ニネベの陥落」ジョン・マーティン画 説教
「ニネベの陥落」ジョン・マーティン画

ナホム書はおそらくマナセ王の治世に南ユダ王国で活躍した預言者です。名前の意味は慰めです。ちなみに新約にでてくるカファルナウムも慰めの町の意味です。3章の短い預言には紀元前612年8月に起こったアッシリア帝国の首都ニネベの陥落がかかれています。皆さんも高校の世界史で習ったであろうオリエント世界最初の統一帝国アッシリアは軍制改革と残忍な恐怖政治でペルシャからエジプトまでをまたぐ大帝国を築きました。紀元前721年には北イスラエル王国の都サマリアも陥落させられ、イスラエル10支族の捕囚、異邦人の入植、原住民との混血が進み、新約聖書につづく「サマリア人」が生れる原因になりました。

ナホム書1章前半では聖書の神様の厳格な義の性質と寛大な愛の性質が記されています。

ナホム書1章後半ではニネベの陥落が預言されます。ここに出てくる「よこしまな者」はヘブル語でベリヤアル、この語の変化形がベリアル(悪霊の二つ名)で、新約聖書でイエス様がベリアルの名において奇跡を起していると誣告された名であり、アッシリアの恐怖政治が極まって悪魔的と言われても過言ではない程だったことが示唆されます。

ナホム書2章ではニネベの陥落が描写されます。ニネベは現在のイラク北部、ニーナワー県(ニネベの転訛)モスルの近郊(ティグリス川の対岸)にありました。メディア・バビロン連合軍が攻城戦、水攻めの後市街戦を展開してニネベを陥落させたことが同章に描かれています。

ナホム書3章にはニネベ陥落の理由が記されていて一つは4節にあるように、霊的淫行、偶像礼拝があり、それを全世界に輸出していたこと、もう一つはかつてアッシリアが上エジプトの都市テーベを征服した時にその征服の仕方がきわめて残酷だったことが記されています。また、上エジプトが当時、ソマリア、リビア、下エジプトの四か国同盟を結んでいて、強固な自然の要塞だったのをアッシリアが滅ぼせたのだからそれよりも強大なバビロニアがアッシリアを攻めてきたらば、ニネベは持たないと書かれています。

ナホム書は一見すると相反するような神様の性質である愛と義はむしろ神様の本質であることを訴えています。北イスラエルの不信仰から同国の滅びますが、同国を滅ぼしたアッシリアもその偶像礼拝から滅ぼされます。また、それは属国として蹂躙されてきたユダ王国への慰めでもありました。神様の視点から見ると慰めと裁きが同時におきることもあるのです。 もとい、イエス様の十字架もどんな大罪人をも赦したいという愛とどんな小さな罪も赦せないという義から出た極めて神様の本質にもとづくものであることをナホム書は教えてくれます。また、ただ神を神として認めるだけではなくて、神のもとに身を寄せる、イエス様に信頼してイエス様に身を寄せることの大切さを教えられます。

サムネイルは「ニネベの陥落」ジョン・マーティンによる銅版画

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